不倫(不貞行為)に関する内容証明郵便が届いたら

最終更新日:2025年01月10日

 配偶者がいる人と不倫関係を続けていると、相手方の妻・夫にバレて、内容証明郵便で慰謝料請求されてしまうケースが多々あります。

 内容証明郵便は一般の普通郵便とは異なる書式になっており、郵便配達員から直接手渡しされるので、受け取るとかなりプレッシャーを感じてしまうものです。

 しかし、内容証明郵便自体に差し押さえなどの法的効果はありません。

 交渉次第では、相手方からの請求金額を減額できる可能性もあります。

 今回は、不倫して内容証明郵便が届いてしまったときの対処方法についてご説明します。

1 不倫慰謝料の「内容証明郵便」とは?

⑴ 内容証明郵便とは

 まず、内容証明郵便は、郵便局と差出人の手元に控えを残すことによって、相手先に送付した郵便の内容を証明できる郵便です。

 単に「内容証明」と呼ばれることもあります。
 請求書を送るときや意思表示の取消通知を送るとき、時効を中断するときなど、郵便の内容を後々まで残しておく必要性が高いときに利用されます。

 なお、本人限定受取郵便のオプションがついていなければ、受け取りは同居の家族でも可能です。
 内容証明郵便を発送すると、差し出した本人にも一部控えが残るので、後に裁判をするときなどに証拠として利用できます。

 また、郵便局が確定日付を記入するので、「いつ請求したのか」という時期も明らかにできます。

 郵便局に内容証明郵便の控えが残るのは、5年間です。
 発送後5年の間であれば、郵便局に保管されている謄本(写し)を閲覧することができますし、同じ写しを郵便局に持って行けば、再度郵便の内容を証明してもらえます。

 内容証明郵便は書式が厳格で、郵便局員から直接手渡しで受け渡されることもあり、受け取った側は強いプレッシャーを感じるでしょう。

⑵ 内容証明郵便の効果

 慰謝料請求の内容証明郵便には「回答やお振込が確認できない場合は、訴えを起こす考えである」等と書かれているので「相手の要求通りに慰謝料を支払わなかったら、裁判を起こされて財産の差し押さえをされるのでは」と思う方もいらっしゃいます。

 しかし、内容証明郵便自体には差し押さえの効果はありません。

 内容証明郵便を無視していたとしても、いきなり預貯金や給料などを差し押さえられる心配はないのです。

 ただし、内容証明郵便による請求を放置していると、相手から「慰謝料請求訴訟」を起こされる可能性があります。

 訴訟によって判決(慰謝料の支払いを命じるもの)が出たら、判決に従って給料や預貯金、車などの財産を差し押さえられる状態となります。

2 内容証明郵便を無視・慰謝料請求を放置した場合

 内容証明郵便によって慰謝料請求をされても、金額が高くて支払いができないこともあります。
 このようなとき、相手からの慰謝料請求に何の対応もせず放置していると、どうなるのでしょうか?

 この場合、交渉が不可能だと判断され、一般的には訴訟を起こされる可能性が高いです。

 訴訟では、反論をしないと相手の言い分がすべて認められてしまいます。
 よって、慰謝料請求を放っておくと裁判所から支払い命じる判決が出て、それも払わない場合は給料や預貯金などを差し押さえられてしまう可能性もあります。

3 内容証明郵便が届いた後の対処方法

 では、不倫の内容証明郵便が届いたとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。

⑴ 返答内容を検討する

 慰謝料請求書を受け取ったら、まずは返答内容を検討する必要があります。
 そもそも慰謝料請求に応じる必要があるのかどうか、請求金額は妥当かどうか、分割払いを希望するのかどうかなどを決めます。

「不倫が相手方の勘違いである」「性関係を相手から強要された」「相手が既婚と知らなかった」「不倫前から相手夫婦が婚姻破綻していた」「時効が完成している」などのケースでは、慰謝料支払いの法的義務がありません。
 これらの要素の検討については、一度専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

 一方、不倫が事実であり、支払いの義務があるならば、自分の支払い能力に応じた返答内容を考えましょう。

⑵ 相手に連絡を入れる

 相手に対する返答内容を決めたら、内容証明郵便に書いてある連絡先に返答の連絡を入れましょう。

 この時は、なるべく書面で連絡を入れることをおすすめします。

 電話だと、主張内容や希望する条件をうまく伝えられないことが多いからです。

 送り主が弁護士であれば、弁護士事務所の住所に手紙やFAXを送信すると良いです。
 送り主が被害者本人なら、本人の住所宛に手紙を送って返答しましょう。

 メールアドレスを知っているならメールでもかまいません。

 なお、相手が回答期限や入金期限を定めていることが一般的なので、必ず期限内に回答しましょう。

⑶ 減額・分割払いの交渉をする

 相手の請求金額をそのまま受諾しない場合には、一度連絡を入れた後、慰謝料の減額や分割払いの交渉をしなければなりません。
 なぜ減額する必要があるのか、相手が納得するように説得的な理由を説明しながら話合いを進めましょう。

 具体的に、相手の請求金額が過大であればその旨を指摘します。
 こちらの支払い能力の問題であれば、相手の気分を害さないように配慮しながら自分の経済状況を説明し、理解を求める必要があります。

 これについては、次の段落で詳しく解説します。

⑷ 示談書を作成して支払いする

 交渉によって慰謝料の支払条件が決定したら、示談書を作成しましょう。

 示談成立後は、決まった通りに支払いを続ける必要があります。

 途中で支払いができなくなると、相手から裁判を起こされて差し押さえを受ける可能性があります。

 特に、示談書を作成するとき、相手によっては公正証書にしたいと希望するケースがあります。

 公正証書には強制執行力があるので、支払いを遅延するとすぐに差し押さえを受けることになりますので注意しましょう。

4 請求金額を全額支払えない場合の交渉

 先程も説明したように、相手の請求金額を全額払わないといけないわけではありません。
 相手が過大な金額を請求している可能性もありますし、相手の請求金額が適正でも、状況によっては減額や分割払いの交渉ができます。

 最後に、請求額の支払いができない場合の対応方法をご説明します。

⑴ 請求金額の減額

 不倫の慰謝料が高額で支払いが困難なときには、まずは減額交渉を行いましょう。

 相手の請求金額が過大であれば、相場の金額付近になるよう交渉すべきです。

 また、相手の請求金額が法的な相場から大きく外れていなくても、こちらの支払い能力が低く、反省していることなどを強調すれば、減額をしてもらえる可能性があります。

 と言うのも、こちらに支払い能力がないのであれば、相手はたとえ裁判をしても、高額な慰謝料を取り立てることは現実的に困難だからです。
 相手にしても、早く不倫トラブルを終わらせたいという気持ちがあるので、訴訟をせずに一定の慰謝料を支払わせることによって早期に解決するメリットがあります。

 また、示談の際に謝罪をしたり、「二度と相手と関わらない」という条件をつけたりすることにより、慰謝料の金額についてはある程度譲歩してもらうという方法もあります。

⑵ 分割払いにしてもらう

 慰謝料を一括払いで支払えない場合には、分割払いの和解をすることも可能です。

 たとえば、相手が300万円の慰謝料請求をしてきたときに、こちらの支払い能力がないことを強調して慰謝料を150万円に減額し、ある程度の頭金を支払った上で残りを月々5万円ずつ支払っていく内容の和解をするケースなども珍しくありません。

 このように、相手から内容証明郵便で多額の慰謝料請求をされても、きちんと話合いをして支払い可能な範囲まで減額交渉をすれば、裁判や差し押さえを回避できます。

5 内容証明郵便が届いたら弁護士に相談を

 不倫相手から内容証明郵便で慰謝料請求をされたら、放置することは厳禁です。

 どのような返答をすべきか早急に検討すべきでしょう。

 不倫トラブルでお困りの場合には、弁護士にご相談ください。

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