不倫慰謝料を一括で支払えない場合の対処法

文責:弁護士 岡安倫矢

最終更新日:2025年04月09日

1 不倫慰謝料を一括で支払えない場合には分割払いを検討する

 不倫慰謝料の一般的な相場は数十万~300万円であり、慰謝料金額が100~200万円になるケースが多いとされています。

 この金額は、一個人が支払うものとしては比較的多額であるといえますので、一括で支払うことができないということも考えられます。

 結論から申し上げますと、一括での支払いが困難である場合には、分割して支払うことを提案することになります。

 ただし、不倫慰謝料を分割払いにすることについては、いくつかの注意点が存在しますので、以下詳しく説明します。

2 不倫慰謝料の分割払いに応じるかは不倫をされた側の配偶者次第

 不倫をされた側の配偶者としては、分割して不倫慰謝料の支払いを受ける場合、リスクを負うことになります。

 全額の支払いを受けるまでには長い時間を要するだけでなく、途中で支払いが途絶えることもあり得るためです。

 そのため、不倫をされた側の配偶者が不倫慰謝料の分割払いに応じるとは限らない点に注意が必要です。

 場合によっては、分割払いに応じず、訴訟を提起して確定判決を得たうえで、強制執行による慰謝料の回収をするということも考えられます。

3 不倫慰謝料の金額が高くなる可能性がある

 2で説明しましたとおり、分割して不倫慰謝料の支払いを受けることにはリスクを伴います。

 そのため、不倫をされた側の配偶者としては、分割払いに応じることと引き換えに、不倫慰謝料の増額を求めることもあります。

4 分割払いの途中で不倫慰謝料支払いができなくなった場合

 毎月不倫慰謝料の分割払いをしていたものの、収入や支出の変化などの事情によって、支払いを続けられなくなってしまうことも考えられます。

 このような場合、一般的には、不倫をされた側の配偶者は残額の支払いを求めて訴訟を提起します。

 そのうえで、確定判決を得て給与の差押えなどをします。

 強制執行認諾文言付公正証書で示談書を作成している場合には、訴訟を経ずに財産の差押えがなされます。

 どうしても支払いができないという場合には、自己破産などの債務整理を行うことも視野に入れます。

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