不貞行為の回数は慰謝料の金額に影響するか

文責:所長 弁護士 岡安倫矢

最終更新日:2025年05月14日

1 不貞行為の回数は不倫慰謝料が増加する要素のひとつ

 一般論として、不貞行為の回数が多いと、不倫慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

 不倫慰謝料の金額を左右する要素はいくつもあるため、不貞行為の回数が多くても、他の要素を考慮した結果、最終的には不倫慰謝料が高くならないということもあります。

 また、仮に不貞行為が一回だけであったとしても、法律上は不倫慰謝料が発生し得ます。

 そうであっても、理論上は不貞行為の回数が多い方が不倫慰謝料の金額を高くなりますし、実務上も不貞行為の回数が多い方が不倫慰謝料を請求しやすくなります。

 以下、これらについて詳しく説明します。

2 不貞行為と不倫慰謝料の法的な関係

 不倫慰謝料の請求は、法律的に表現をすると、不法行為に基づく損害賠償金の請求です。

 加害者の行為によって被害者の権利が侵害された場合、侵害された権利の回復を求めて、損害賠償金の請求ができることになります。

 損害賠償金は、権利侵害の程度が大きいほど、高くなります。

 不倫慰謝料は、不貞行為によって、不倫をされた側の配偶者が有する平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された場合に発生します。

 一般的には、権利を侵害する行為である不貞行為の回数が多いほど、不倫をされた側の損害が大きくなると考えられます。

 このことから、不貞行為の回数は不倫慰謝料の金額に影響するといえます。

 不貞行為の期間・回数が問題となった裁判例においては、不貞の期間が長く不貞行為の回数が多い場合の慰謝料は200万円前後、不貞の期間が短く不貞行為の回数が少ない場合の慰謝料は100万円前後となる傾向にあります。

3 実務上不貞行為の回数が多い方が慰謝料請求をしやすくなる理由

 実務上は、不倫慰謝料の支払いを求める場合、不倫をした配偶者と不倫相手との間における不貞行為の存在を証明する証拠が必要となります。

 不貞行為の回数が少ない場合、証拠を押さえる機会も少ないことになります。

 その結果、不貞行為の存在が疑われる状況であっても、決定的な証拠が取得できず、そもそも不倫慰謝料の請求自体が困難になるということも考えられます。

 逆にいえば、不貞行為が長期かつ多数に渡っていれば、それだけ確実な証拠を取得できる機会も増え、不倫慰謝料の支払いを受けられる可能性が高まります。

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