不倫慰謝料を請求する手順について
1 不倫慰謝料請求の全体的な流れについて
不倫慰謝料を請求する際には、正しいステップを踏んで進める必要があります。
準備等をしっかりとせずに進めてしまうと、不倫慰謝料請求自体が困難になってしまうことや、不利な条件で示談をしてしまう、訴訟を円滑に進められなくなってしまうといった可能性があります。
不倫慰謝料請求の一般的な流れは、次のとおりです。
①不貞行為の証拠の収集・不倫相手の身元調査
②不倫慰謝料の請求と話し合い
③訴訟提起による不倫慰謝料請求
以下、①~③について詳しく説明します。
2 不貞行為の証拠の収集・不倫相手の身元調査
不倫慰謝料の請求をする際にとても重要なことは、事前の証拠収集です。
十分な証拠が揃わない場合、不倫慰謝料の請求は困難であるといっても過言ではありません。
集めるべき証拠は、不倫をしている配偶者と不倫相手との間における不貞行為(性的関係)の存在を証明できるものです。
代表的なものとして、不倫をした配偶者と不倫相手における性的なメッセージのやり取りや、一緒にホテルや不倫相手の自宅等に入る場面の写真・動画が挙げられます。
注意すべき点として、十分な証拠が揃う前に配偶者や不倫相手に対して慰謝料の請求をするのは、基本的に避けるべきであるということが挙げられます。
相手に証拠を破棄されてしまうことや、一時的に不倫している者同士での連絡を断たれ、証拠の収集ができなくなる可能性があるためです。
3 不倫慰謝料の請求と話し合い
十分な証拠が収集できたら、不倫をした配偶者や不倫相手に対して、配達証明付内容証明郵便を用いて不倫慰謝料の請求をします。
請求の方法に決まりはありませんが、配達証明付内容証明郵便を用いることで、慰謝料の請求をされていないという反論や、郵便物が届いていないという反論を抑止できます。
相手と連絡が取れたら、慰謝料の金額等の条件について交渉を行います。
両者が合意できた場合には、合意した内容を記した示談書を作成し、不倫慰謝料の支払いを受けて終了します。
4 訴訟提起による不倫慰謝料請求
交渉が決裂した場合や、相手が無視を決め込んでいて連絡が取れないという場合は、訴訟を提起して不倫慰謝料の支払いを求めます。
訴訟を提起する場合は、訴状に不倫慰謝料の発生原因となる事実を記載し、その事実を証明する証拠を添付して裁判所に提出します。
訴訟は民事訴訟法という法律に従って進められますので、弁護士に依頼することをおすすめします。
請求が認められ、勝訴した場合には、不倫慰謝料の支払いを受けて終了となります。
相手が任意の支払いに応じない場合、確定判決を用いて強制執行を行い、相手の財産を差し押さえて慰謝料を回収することになります。